Serendipity

睡眠と太陽とおいしいごはんがあればそれでしあわせ。ときどき本や映画の話。

【長野】小布施にある「まちとしょテラソ」に行ってみたい

長野県小布施町は毎年、人口の100倍にあたる120万人が来訪するまちだ。まちのキャッチフレーズは「栗と北斎と花のまち」。 景勝地や史跡といった、いわゆる観光資源がない小布施では「暮らしぶり」こそが最大の資源であるとして町並修景事業を行ったり、訪れる人たちとの交流が土地に活力を見いだしているとして来訪者を「平成の北斎」すなわち「今北斎」と呼んでもてなす町づくりを行ってきた。

ここに地域のハブとなっている一軒の図書館「まちとしょテラソ」がある。2009年に開館したこの図書館は、2012年のライブラリー・オブ・ザ・イヤーを受賞。「図書館=静かに本を読む場所」という、これまでの常識を覆した新しい取組みをしていることでで話題になっている。

はなぼん ~わくわく演出マネジメント

はなぼん ~わくわく演出マネジメント

 

立ち上げから3年間運営を指揮してきた前館長・花井裕一郎さんによる本を読んだ。まちとしょテラソは単なる図書館ではなく、「場」として機能しているように思う。開館時に掲げていたのは「学びの場」「子育ての場」「交流の場」「情報発信の場」という柱で、古谷誠章さんによる建築がそれを体現する場づくりを行っている。

上に記載した、これまでの常識を覆した取組みの一例としては、キャップのついたものに限り飲み物の持ち込みがOKであったり、館内でのおしゃべりや読み聞かせがしやすいよう小さくラジオが流れていたりすること、来館者をお客様と呼び、「もてなし」のこころを大切にしていることなどが挙げられる。「図書館に来たことがない人にどうしたら足を運んでもらえるか」を考えて行われてきたイベントは500以上、なかにはスタッフの特性を生かした企画も多数あるのだそう。私がいいなあと思うのは、体操の時間とお父さんによる読み聞かせ会

以前花井さんが講演で「面倒なことをたくさんすることがおもてなし」とおっしゃっていた。『ナタリーはこうなっていたのか』で大山卓也さんも語っていたけれど、いま注目されていることはあくまでも結果であって、そこにセオリーがあるとすれば「小さなことをコツコツと」やってきたことに過ぎないのではないかと思う。

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私が連れられるがままに小布施を訪れたのは2010年だから、いま思えばまちとしょテラソもオープンしていたのだなあ。2001年から毎月ぞろ目に開催されていたイベント小布施ッションは2013年で一度区切りがついているのだけど、「新しい地方をつくる」をテーマに年に1度(つい先日の3連休に開催された)「小布施若者会議」など新しい動きがいまもたくさん起こっている。また行きたいし、行った当時の記録に「私はまた小布施に行くと思う」と書いてあった。この日は春なのにとても寒くてふらりと入ったお店で買ったおやきがおいしかったのを覚えている。写真は枡市酒造のレストランにて。

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小布施といえばこれも(いまは枡市酒造から離れているようですが) 

セーラが町にやってきた (日経ビジネス人文庫)

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