Serendipity

睡眠と太陽とおいしいごはんがあればそれでしあわせ。ときどき本や映画の話。

【本】編集者の熱量が感じられる一冊|スゴ編。

 

スゴ編。カリスマ編集者から学ぶ7つの仕事力 (デザインビジネス選書)

スゴ編。カリスマ編集者から学ぶ7つの仕事力 (デザインビジネス選書)

 

 それまで完全に門外だった私に「編集」という言葉が降ってきたのは今年の2月頃だった。ウェブマガジンの編集をしたり、フリーペーパーを作ったりしたことはあったのでなんとなく”編集”っぽいことをしているんだろうと思ってはいたけれど、春を経て夏が過ぎると「編集」という言葉についてぐるぐる考える機会が増え、そこからやっとはじめて「編集とはなんぞや」を少しずつ解きほぐしていっている次第である。

で、編集。
いうなれば生きるすべての物事に通ずる概念。ただしそこに明確な答えはない。だからこそ躓くのだけど、同時におもしろさもそこに潜んでいるのではないかと思う。

この本には、9人のスゴ編。が登場し仕事力について語っている。インタビュー形式になっているので、人となりもなんとなくわかりおもしろい。編集という仕事の「いろは」についてはもしかすると期待外れだが、スピリッツの部分ではそれぞれの人の情熱が感じられてとてもいい。

あと、装丁について触れているあたりも個人的にはうれしかった。ついつい編集者とか装丁デザイナーって裏方で、著者が本づくりにおいて最上みたいな縮図になりがちだけど本づくりは総合芸術(芸術、はちょっと語弊があるかな)だと思っているのでそういう観点から書かれているのはすごくしっくり来た部分。

それにしても、編集者ってフィジカルの強さは必要不可欠だなあ。忙しいイメージの強い職業だけど、そんななかでも五感を研ぎすましてからだを健康に保っている姿を見るとそれすら芸術のように見えてくるね。

そういえば、糸井重里さんがいつかのほぼ日

 三度三度のめしを、よく噛んで、おいしく食べて。
 決まった時間に気分よくうんこして、
 たのしみのひとつとしてお風呂にゆっくりつかって、
 よく寝て、すっきり起きて、
 いつもおだやかに笑顔でいるような人に、
 だれも勝てるとは思わないほうがいい。

と言っていて、ここに登場する人たちも仕事こそ激務なのだろうけれどきっといい笑顔をする人たちなのだろうなということを思った。

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