Serendipity

睡眠と太陽とおいしいごはんがあればそれでしあわせ。ときどき本や映画の話。

【本】出会いが旅を豊かにする|『ほんとうのニッポンに出会う旅』

 

ほんとうのニッポンに出会う旅

ほんとうのニッポンに出会う旅

 

 センチメンタルの青い旗につづき、Re:S藤本智士さん本。

この本は、「Re:S = Re:Standard あたらしい”ふつう”を提案する。」というキャッチフレーズのもと2006年に創刊した雑誌『Re:S』。11号で休刊するまでの約3年間の記録を、その後さらに3年の時を経て一冊の本にまとめたもの。3年間で旅した44都道府県のうち4つの旅が収録されている。

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藤本さんの作られる冊子は、どれも文量が多いのが特徴だと思っている。秋田のPR誌『のんびり』でも、64ページの約半分は特集に割いており誌面における文字の割合も市販の雑誌などに比べて多い気がする。でもなぜだろう、読みにくさを感じたことはない。それどころかいつも手に入れてから読みはじめるまでにそこに込められた力の強さを思うからか少し寝かせてから読みたくなってしまうたぐいの本だ(読み始めると一気に読める)。

私が藤本さんの手がける媒体に触れたのは『のんびり』が最初だったが2012年発行の『のんびり』での取材手法のはじまりをこの本に見た気がしてうれしかった。いまに至るまでとにかく、手探り、現場、場当たり主義。そしていつもすごく真摯なのだ。

本書では長野、鳥取、北海道、青森の4つの旅が記録されているが、これを読んで「じゃあ長野に行こう!」としても同じ旅が約束されているわけではない。

Re:Sの編集を見ていて思うのは、メディアとして場や人を取り上げることで「助けてあげよう」などという傲慢な気持ちが一切なく、純粋に自分たちが出会ったときの感動を
そのまま言葉にしているのだろうということ。「ここに行けばこんな素敵な出会いがありますよ!」という紹介文ではなく、かといって自慢文でもなく、ここに書かれていることは本当はとても普遍的なことなのだろうということ。

この本を読み終えるときっと、人に出会いたくなる。

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本のつくりもいつも丁寧。ページ脇のリスたちがかわいい。

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そういえば取材前、取材中に神社を見つけるとお参りするというのもいいなあと思う
(そういう描写がたびたび出てくる)。し、そこからオリジナルの朱印帳づくりというアプローチもうまいなあと思う。

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